ずっとずっと前のこと。 毎日乗る地下鉄の銀座駅が、通勤の駅でした。
地下は雨露をしのげるので、ホームレスがあちこちに居ましたね。
ホームのベンチにもホームレスの人はいて、毎日目にしていました。
相当な年配のようで、着ているものはボロボロ。
声をかけて、千円でも二千円でも渡そうかと考えましたが出来ませんでした。
勇気のない自分が、情けなかったです。
どうすればと、毎日考えていました。 交番はすぐ上の出口にありますが、
下手に声をを掛けるわけにもいきません、地下は鉄道会社の管理下なのです。
そんなある日、家内と休日に地下を通った時に思い余って
地下鉄の事務所に駆け込みましたよ。
係員を読んで、ベンチにホームレスがいると説明しました。
個人ですか複数ですかと、聞いてきましたね。
そうじゃない、ホームレスの人にお金を渡したいが誤解されると困るので
三万円渡すから上の交番にお金をもって行って、ホームレスの人にお巡りさんから渡して
もらうように言ってもらえないかと言いました。
そんな思いは全く伝わらず、他の駅係員が聞きつけてきて押し問答になりました。
さすがに私は切れて、あんたらに親はいないのか
あのホームレスがあんたの親だったらどうすると言い放ちました。
もう、むりだと思ったのでその日は引き上げました。
数日後、ホームレスの姿はホームはおろか通路にも見られなくなりました。
何と言う事か、苦情扱いされてしまったのです。
まあ、確かに構内などにホームレスが定住しているのは職務怠慢かもしれません。
駅員の人も通行者も黙認してた訳でしょう。
利用者の声が、排除のきっかけになってしまったのは否めません。
三万円あれば、その場はしのげるなんて思ったのは浅はかでした。
人は、本意を汲んでくれるとは限らない。誰だって自分が可愛い。
関わりあいたくないのは本音でしょう。
今も消えない思いが心に残ります。
ホームレスにならない世の中を、
そんな世の中を作って貰いたい。