見知らぬあなたへ。
答えを探しています。
遠い昔の話です。
私が東京の大学に進学し帰省した夏休み、
私は一度だけ父と二人で出かけたことがあります。
なぜか母は家に残りました。その理由はわかりません。
三時間以上でしょうか、列車に揺られついたのは男鹿半島でした。入道崎でしょうか、
丸い展望台の前で写真を撮った姿が残されています。
岬を眺めたり写真を何枚か撮ったのが残っていましたが、今ではその写真は
大量の写真に埋もれてしまっています。
その時持って行ったカメラはコニカC35でした。なぜかペンタックスではなく小さなコンパクトカメラ
であったのが妙に印象的でした。父のお気に入りでした。
いまでも不思議に思います。
どうして父は私を連出したのだろうと、いつも考えますがわかりません。
いくら考えても、何ひとつ思い出せません。
もししたら、父は私に何かを伝えたかったのかも知れません。長い道中、列車に揺られながら父は
話す機会を失ったのでしょうか。父は何を私に話したかったのでしょう。
父は私から何を聞きたかったのでしょう。
今ではもう全てが、迷宮の彼方へと消え去ってしまいました。
私は父の年代になり、無性にその答えが知りたくなって止みません。
父が息子に伝えたかったことは何だったのでしょう。
もしかしたら、
父は自分の病気を知り、余命十年を悟ったのかも知れません。
文系の大学に進学した自分に、進路の変更を勧めたかったのかも知れません。
それを父は言い出せなかったのではないでしょうか。
カメラ店の中古売り場に、時々コニカC35を見つけます。
それはとても空しく、写真が好きだった父の面影にだぶります。
コニカC35を持ってあの地に行ったなら、
あの時の答えは出て来るのでしょうか。
私は少し、苦労しました。