東京湾の外れの港。
工場が立ち並ぶ小さな港。
真っ直ぐに伸びた防波堤。
休日には、多くの人々がやってきます。
路の外れには、壊れた車とゴミの山。
タイヤも、窓ガラスも無い朽ちかけて
ボロボロになった車たち。
そこに、黒い犬がつながれている。
傍らには、他の犬。 よく見ると、片目が無い。
方耳も無い。
向こうにも犬がいる。
あぁ・・・片足が無い。 ボロボロの窓に幾つもの影。
犬たちだ。
車を埋め尽くす、傷ついた犬たち。
ここは、人に捨てられた犬たちの最後の砦。
ボランティアの人々が彼らを支える。
餌を持ち近寄れば、
何と言う透き通った目を見せるのか。心が痛む。
犬を捨てた奴らよ。 おまえらは知っているのか。
ボロボロに傷ついて、泥のように汚れた犬の姿を。
おまえらには、
犬たちを支える人々の愛情などわかるまい。
ばかやろう。
畜生よりも劣る奴らよ。
おまえたちは、知るまい。
飢えて、傷ついてボロボロになった彼らを。
俺は餌を車に積んで毎晩探し廻ったんだ。
体は汚れていても、
その目はとっても優しかったぜ。
でも、今はもういない。
遠い国へ行ってしまったんだ。自由の国へね。
生きているうちには行けない国にね。
今でも、ボロボロの車には彼たちがいるぜ。
もし、貴方に人間としての優しさが、ひとかけらでも残っているのなら。
逢いに、来て。
そして、涙のひとつでも流してやって欲しい。
朽ち果てた車に、黒い犬がつながれている。
いつも、遠くを見つめている。
優しかった頃の貴方たちを、きっと待っているんだ。
君たち・・・、君達は夢を見るかい。
楽しかった・・・、夢を見るかい。
今度生まれて来るときも、きっと、犬で来て欲しい。
もう、貴方たちを裏切らない。
信じて、ここに来て欲しい。
もう、彼らの命は長くはない。 逢ってやって欲しい。
命、枯れる前に・・。