東京なんて さばけた街だと
思っていたわ・・・
バスの中 どうぞお座りになって なんて
譲り合いの言葉が 行き交って
ああ この街は まだまだ 大丈夫ね、なんて
ほのかな希望 心揺するのよ
勿論 並んでいるあたしの前を
無言でさっさと割り込む人も それは、それは多いけど・・・
東京なんて さばけた街だと
思っていたわ・・・
バスの中 どうぞお座りになって なんて
若いママに席譲る お年寄りの言葉が 行き交って
ああ この街は まだまだ 大丈夫なんて
幼い子供の 顔を見たわ
勿論 空いている席を
脱兎のごとく確保する人たちも それは、それは多いけど・・・
気が付けば
ここは東京よ 西も東も 北も南も
見渡す限り東京よ
何時の間にか住み慣れて ああここが東京なんて・・・
ついつい 故郷と思っていたわ
東京なんて さばけた街だと
思っていたわ・・・
道を尋ねれば 店の奥から地図を持ってきて
あそこを曲がって 信号三本越えてなんて
教えてくれる それがこの街東京よ
勿論 交番は向こうだよ、なんて すげなくかわす人も
それは それは多いけど・・・
だけど ここはあたしの住む街よ
遠い田舎離れ ひとり、今もひとり
いつしか田舎忘れ 住み付いたわ
命終えて蘇るなら きっとこんども来るでしょう
東京なんて さばけた街に
寂しがりやの住む街に
なだらかな山もなく 険しい谷もない
遠浅の浜もなく 険しい磯もない
そうね 何もない あるのは造られた街だけね
道端の花さえも そうよ ここに無かったわ
夕日に光るビルの街
どこかとても 切ないわ ここは造られた街
だけど何時の間にか住み慣れて
ああここが東京なんて・・・ いつのまにか故郷に
東京なんて さばけた街だと
思っていたわ・・・
電車の中で粛々と 黙々と人は雑踏に消えていく
ああ ここは東京だなんて
決して、けっして思わないわ
みんな遠い故郷離れ いつしか田舎忘れ 住み付いた
ここは心の街よ 遠い、とおい 故郷ね
遠い、とおい 故郷ね